BELL「500TXJ」のデザインの魅力は?
BELL「500TXJ」は、1950年代に登場したジェット型ヘルメットです。
ビンテージヘルメットが注目を集めているなか、その元祖的な存在としてこの分野のファンの間から高い評価を得ています。
デザインは至ってシンプル、というより、ジェット型ヘルメットのデザインの基本的な形はこのBELL「500TXJ」によって固まったといっても過言ではないかもしれません。
それぐらい、後続のヘルメットに大きな影響を及ぼしたヘルメットなのです。
なだらかな流線型を描くライン、視認性を重視しつつもスタイリッシュな雰囲気をも兼ね備えた開口部、、そして少し無骨な印象を与える全体の作り。
このBELL「500TXJ」のデザインは1960年代~70年代の日本で制作されたアニメーション作品や特撮作品のヘルメット(バイク用を問わず)にも大きな影響を及ぼしています。
BELL「500TXJ」の基本構造
そんなBELL「500TXJ」の基本構造における最大の特色は、世界ではじめて発泡ライナーを採用した点にあります。
この点も後続のバイク用ヘルメットに大きな影響を及ぼしており、このBELL「500TXJ」によって構造・機能面においてもバイク用ヘルメットのスタンダードが確立されたといっても過言ではないでしょう。
第二次世界大戦後のアメリカでは空前のバイクブームが起こっていた一方、安全面を危惧する声が上がっていました。
ライダーがより安全に運転・走行を楽しめためのよりふさわしい環境・装備が模索されていく過程で生まれたのが、発泡ライナーを採用したBELL「500TXJ」だったわけです。
BELL社ではこの「500TXJ」にたどり着くまで世界各地からさまざまなヘルメットを集め、それらを参考にしつつ研究を繰り返したと言われています。
ですから、それまでのバイクのヘルメットの歴史を集大成したうえで、新しい世界を切り開く役割を担ったとも言えそうです。
BELL「500TXJ」の機能性の特色について
機能性に関してはデザインとも関係してくる部分ですが、フィット感に優れている点がまず挙げられます。
開口部は視認性を重視している一方で、頬の部分にぴったり合うような作りをしており、しかも発泡ライナーによって従来のヘルメットと比較しても頭部のフィット感が大幅に向上し、より快適な運転を可能にしています。
シンプルなデザインはこうした機能性とリンクさせている面もあるわけで、まさに当時のアメリカ社会のニーズに見事に答えたヘルメットと言えるでしょう。
なお、早くも1960年代にはニューヨーク近代美術館に収蔵されるなど単なる実用品の枠を超えて近代/現代アメリカを代表する美術品としての評価も不動にしています。
現在も中古市場で高値で売買されるほか、忠実に再現した模造品なども見かけます。
本物にせよ模造品にせよ、ビンテーヘルメットに興味がある方はこの歴史的なヘルメットをかぶる感触を味わってみるのもよいかもしれません。